2013年8月28日水曜日

中国の統計と正確さとシャドーバンキング

中国が経済指標であるPMIの発表をとりやめました。
その理由は、統計の正確性を担保できないという、なんというか変な理由です。

中国国家統計局は製造業購買担当者指数(PMI )の業界別データの発表を取りやめたことを明らかにした。正確性をめぐる懸念を理由に挙げた。
国家統計局の盛来運報道官は26日の会見で、「すべての業種別データが正確性の基準に到達できるか確信が持てない」とし、「一部業界のサンプルは非常に少なく、予想外の変化がデータ全体の質に影響を及ぼしかねない。一部の数値が関係する投資家や利用者に影響を与える可能性があることを懸念した」と説明した。
中国、製造業PMIの業界別データ発表取りやめ-正確性懸念で Bloomberg

確かに正確性にかけるデータなら指標として発表できないと思いますが、今まではどうだったんだ?って話になります。

光大証券の徐高チーフエコノミスト(北京在勤)は「国家統計局の説明には納得できない。業界別データはこれまで数年間発表されており、中国経済を判断する上で非常に有用なことが分かっている」と指摘、「こうした詳細なデータがなければ、中国の公式PMI指数の見出しへの信頼性が損なわれる」と語った。
中国、製造業PMIの業界別データ発表取りやめ-正確性懸念で Bloomberg

同局と中国物流購買連合会は7月に発表した6月分の統計から一部の業界別PMIの発表を停止。これは輸出の水増しや出稼ぎ労働者を含めない全国の失業率など中国の統計をめぐる懸念を浮き彫りした。
中国、製造業PMIの業界別データ発表取りやめ-正確性懸念で Bloomberg

この中にでてくる「輸出の水増し」というのはちょっと前に話題になったシャドーバンキング関連の事でしょう。
香港の企業へ輸出した事にして、実際はシャドーバンキングに投機するという手口かと思われます。
このシャドーバンキングはきっちりと担保をとるそうですが、担保というのは基本的に不動産と言われています。

中国の地方政府は、息のかかった建設会社に資金を融通し、国有の土地を転売することで都市化の発展を主導してきた。マンションを次々に建設し、オリンピック会場に匹敵するようなスタジアムを建設・・・、そんな箱物開発が全国津々浦々で進められてきた。中国の今日の発展は融資と投資がもたらした濫開発である。
中国
空き家、空き地が急増、ゴーストタウン化する中国の地方都市 JBPress

不動産価格はどんどん上がっているのでこれまでシャドーバンキングは焦げ付かないですみました。
中国の地方政府はシャドーバンキングから資金を得て、開発を行い不動産価格を上げるというやり方をしているようです。
中国は土地が広いのに(意外なことに)家は狭いので、宅地やマンション開発を推めることも上手く行っていたようですが、ここにきて余ってきたようです。

事実、空き家は急増中である。筆者は上海市内を南北に走る軌道3号線上を活動の拠点としているが、曹楊路駅、鎮坪路駅付近を通過すると、無数の高層マンション群が視界に飛び込んでくる。そのたびに、「こんなにマンション開発してどうするのか?」と呆れてしまう。
中国
空き家、空き地が急増、ゴーストタウン化する中国の地方都市 JBPress

となると、シャドーバンキングの融資が焦げ付く恐れがでてきます。
それでも中国人は呑気というか、負けず嫌いというか、焦げ付いたところで中央政府が救済するだろうという思いがあるようで、ぎりぎりまで攻めるチキンレースのようにも見えます。

さらに中国独特の成果主義というか、数字主義で、役人は前任者よりもよい数字を出さなければいけないという命題があり、とにかく数字だけどうにかしておけばいい、という世界のようです。
であれば、指標なんて当然デタラメになる訳です。

0 件のコメント:

コメントを投稿