アジアインフラ投資銀行の話題が少し多くなってきたようです。
似たような名前のアジア開発銀行というのがありますが、これとは別のものです。
アジア開発銀行は日本とアメリカがそれぞれ15.65%の出資をしていて、日本とアメリカが中心となりアジアでの融資を行っています。
一方で、アジアインフラ投資銀行の方は日本とアメリカを抜きでやろう、と中国が作ろうとしているところです。
日本とアメリカが一番出資しているためか、アジア開発銀行の歴代総裁は日本人だけです。
2013年の総裁交代と際は中国がその座を狙っているといわれましたが、結局は日本の中尾武彦氏になりました。
中国人総裁は他の加盟国からの同意がまるで得られなかったようでしたが。
アジア開発銀行の方は諦めたのか、中国は別の銀行を作ろうと考えました。
それがアジアインフラ投資銀行です。
習近平の肝いり政策と言われていて、出資国は日本とアメリカを外し、他のアジア各国を取り入れようという狙いです。
中国財政省は7日、アジア諸国のインフラ建設を支援する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立準備に着手したと発表した。
AIIBは、習近平国家主席と李克強首相が昨年10月に東南アジアを歴訪した際に設立を提唱。アジア開発銀行(ADB)などを補完する存在となる。
財政省によると、資本金は500億ドル。参加国が拠出する。
楼継偉財政相は「AIIBは、アジアの接続と経済協力を促進するため、主にアジアのインフラ建設に注力する」と表明。「世銀やADBなど既存の国際開発金融機関は、貧困対策に力を入れることになる」と述べた。
同相によると、AIIBをめぐる初の国際会議が1月24日に行われ、複数の国が設立に参加する意向を示した。具体的な国名は不明。
中国、「アジアインフラ投資銀行」の設立準備開始
2014年3月の記事です。
この時は中国以外の具体的な参加国については名前が上がっていません。
政府と金融界によると、中国の王毅外相は5月、朴槿恵(パク・クネ)大統領を表敬訪問した際、「7月3、4日の習近平国家主席の韓国訪問で、共同宣言文に『韓国がAIIBに加盟することにした』と明示してほしい」と要請した。中国は今月4日に中国を訪問した玄オ錫(ヒョン・オソク)経済副総理にも同じ要請をしたという。
これに対し米国政府は今月初め、在韓米国大使館を通じて、「韓国のAIIB参加に深い懸念(deeply concern)を表明する」という立場を韓国政府に通知した。「AIIBは中国が政治的に悪用する可能性が高い。韓国がAIIBに加盟する場合、その間、両国が築いてきた友邦としての信任度が影響を受けることになるだろう」という点も明示した。
中国主導のアジアインフラ投資銀行 米国が韓国の加盟にブレーキ
この記事は2014年6月末の韓国の中央日報。
韓国は韓国で、アジア開発銀行では中国同様に目立たないので、日本とアメリカがいないアジアインフラ投資銀行なら相対的に出資割合が高まり目立つことが出来るという考えもあるようです。
しかし、アメリカが出資するなと釘を差してきました。
そして、この後に中間首脳会談が行なわれます。
中国国営新華社によると、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は中国の習近平国家主席との3日の首脳会談で、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加表明を見送った。新華社によると、習氏は「AIIBの設立などで韓国との協力を強化したい」と呼び掛けたが、朴氏は「中国がAIIB設立を提起したことを称賛する。中国と意思疎通を保ちたい」と述べるにとどめ、態度を保留した。
韓国、中国主導インフラ銀の参加表明見送り
7月はじめの中間首脳会談で、韓国はアジアインフラ投資銀行への参加表明は見送りました。
一方で、やはりアメリカから釘を差されていたといわれる、ウォンと元の直接取引について決定しました。
ウォンと元の直接取引でアメリカが韓国に対し報復する、なんて記事もありましたが、どうなるのでしょうか。
為替相場に韓国政府は介入するな!と名指しで批判するとか、あるかもしれません。
アジアインフラ投資銀行ですが、もちろん支持する声もあります。
国際通貨基金(IMF)のライス報道官は10日の会見で、中国主導で創設準備が進む国際金融機関のアジアインフラ投資銀行(AIIB)について「歓迎する」と表明した。
報道官は「開発のための資金が増える枠組みは望ましい」と語った。一方で、「新しい機関は既存の機関を補完することが重要だ」と指摘し、業務の重複には懸念も示した
アジアインフラ銀「歓迎」=IMF報道官
記事は、アジア開発銀行の予測を引用し、現在から2020年までにアジアではインフラ建設に向けて年8000億米ドルもの投資需要があることを伝え、「アジア開発銀行によるインフラ投資は年100億ドルに過ぎず、数字上は中国のアジアインフラ投資銀行にも参入の余地がある」と論じた。
中国が国際金融機関設立へ・・・「新シルクロード計画」の英紙報道=中国メディア
中国はアジアインフラ投資銀行はインフラ整備に、アジア開発銀行は貧困対策をやればいい、と言っているようです。
アジア開発銀行に対し、インフラ整備をよこせ、ということです。
アジアインフラ投資銀行創設に対し、中国の狙いはいくつかあると思いますが、中国国内で行き詰まった不動産開発を海外でやろう、というのも一つの狙いでしょう。
工事の請負や、中国の鉄鋼業に仕事を回すため、行き過ぎた中国国内の開発ではなくアジアの開発をやりたい、ということだと思います。
韓国は韓国で、内需が弱い国ですから国外での開発を請け負いたいという思惑もあるでしょう。
しかも、アメリカと日本の意向に沿う必要がない枠組みなら、それこそ喉から手が出るほどに。
しかし、アメリカはそれを許さないと既に伝えているわけで、韓国は目の前の餌が食べられない状態です。
アメリカに代わって日本が韓国に餌を出すとは考えにくいので、アメリカは何かしらの餌を出すのか、出さないのか。
韓国は中国が出した餌に我慢できずに飛びつくのか。
すごく気になるところです。