2013年8月8日木曜日

法制局長官人事で「集団的自衛権」の憲法解釈は変わるのか

法制局長官に小松一郎駐フランス大使というニュース。

政府は8日午前の閣議で、山本庸幸内閣法制局長官を退任させ、後任に小松一郎駐フランス大使を充てる人事を決定した。政府の憲法解釈を担う内閣法制局長官は内閣法制次長から昇任するのが慣例で、外務省からの起用は異例。
小松・法制局長官を閣議決定 「集団的自衛権」焦点

条約課長や国際法局長を経て駐フランス大使という経歴で、国際法が専門なのでしょう。
今回の慣例をやぶった強引な人事は、積極的に「集団的自衛権」に関する憲法解釈を改めていこう、という狙いなのでしょう。
というのも、小松一郎駐フランス大使は著作で「集団的自衛権」の行使に理解を示しているからです。

著書で小松氏は強盗の例えを使用。警察官を待っていれば自分が殺される状況で強盗を傷付ければ傷害罪に当たる。ただ、ほかに自分の命を守る手段がない正当防衛だったと認められれば、違法性は問われない。このケースが、敵国に攻撃された場合に反撃できる個別的自衛権に当たると解説する。
小松氏は、殺されそうな友人を助けるために強盗を攻撃する「他者のための正当防衛」を集団的自衛権になぞらえた上で「法制度としては常識的なもの」と主張。さらに、自警団に当たる多国籍軍なども頼りにならないと指摘し、集団的自衛権の意義を強調した。
小松氏、法制局長官決定へ 集団的自衛権の行使 著書でも理解示す

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早くも福島みずほとの対決があるかもしれません。
社民党の福島みずほ前党首は6日、集団的自衛権に関する内閣法制局の見解について質問主意書を提出。福島前党首は「13日に答弁が提出される予定」としており、政府答弁がどのようなものになるか、注目される。
また、福島前党首は「歴代内閣は集団的自衛権の行使は認めてこなかった。これまで積み上げられてきた国会における政府との議論の前提を、解釈変更で容易に変更できるのであれば、議論の前提が崩れることになり、議会制民主主義と法治国家の根幹を揺るがすことになると考える」として、政府の見解を明らかにするよう求めている。
解釈変更可能なら法的裏付け示せ 政府に福島氏

国際法上、「集団的自衛権」の権利は有するが行使は出来ない、というこれまでの憲法解釈は改めるべきと考えていますが、あまり強引に推めるのは良くない気もしますが、急ぐにも理由があると考えられます。
一つは民主党政権時代のアメリカから距離を取ろうとした動きで離れてしまったアメリカを引き止めるため。
もう一つは中国の海洋への進出。
これも民主党政権が原因の一つでしょう。
政権交代で失った3年分を取り戻すために、強引になっているのかもしれません。
少なくともあと3年は自民党中心の政権で、このまま行けば3年後の選挙でも自民党が大敗して政権が大きく変わるとは考えにくいので、そこまで急ぐことではないと思うのですが、既に急がねばいけない状況となってしまったのでしょうか。

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